FERRARI 499P

LE MANS HYPERCARAF CORSE#83FIA WEC

THE RACE LASTS 24 HOURS.
GETTING THERE TAKES YEARS.

レースは24時間。そこにたどり着くまでには、何年もかかる。

ROBERT KUBICA 1995—

31年

YE YIFEI 2010—

16年

PHIL HANSON 2013—

13年

LE MANS 24H

24時間

横棒は、#83に乗る3人がレースを始めてから2026年までの年数。いちばん下の24時間は、同じ物差しでは線の太さに届かない。

車両
Ferrari 499P(ル・マン・ハイパーカー)[4]
エントリー
AF Corse #83。Ferrariの公式車両は #50 と #51 で、#83 はそれとは別の体制[4]
ドライバー(2026年)
Robert Kubica / Ye Yifei / Phil Hanson[4]
2025年ル・マン24時間
#83 が総合優勝。387周、2位と14.084秒差[5]
車両オーナー
MAEZAWA RACING。2026年6月13日に前澤友作氏本人が公表[14]
THE CAR

耐久レースで勝つために作られた車

Ferrari 499P は、ル・マン・ハイパーカー規定に合わせて作られた FIA世界耐久選手権(WEC)の競技車両です。公の場に初めて出たのは2022年7月6日のシェイクダウンで、競技デビューは2023年[1][3]。

#83 は AF Corse がエントリーする車両です。Ferrari の公式車両は #50 と #51 で、#83 はそれとは別の体制で走っています。2025年のル・マン24時間では、この #83 が Robert Kubica、Ye Yifei、Phil Hanson の3人で総合優勝しました(387周、2位と14.084秒差)。2026年も同じ3人が #83 に乗っています[4][5][6]。

「499P Modificata」は別の車。2023年10月28日にムジェロで発表された、競技には出ないサーキット走行専用の限定車で、Ferrari の Sport Prototipi Clienti で走る[3]。#83 は WEC を走っている競技車両の 499P。

THE CREW

ONE CAR.
THREE DRIVERS.

1台を24時間、3人で乗り継ぐ。

  1. ROBERT KUBICA

    RACING SINCE

    1995[12]

    10歳でカートを始めたとされる。四輪に転向したのは2001年で、それまでにカートのタイトルを6つ獲っている。

  2. YE YIFEI

    RACING SINCE

    2010[11]

    10歳でカートを開始。2年のうちに中国選手権を連覇している。2000年6月16日生まれ。

  3. PHIL HANSON

    RACING SINCE

    2013[8]

    本人の公式サイトの年表に「2013 First Karting Race」。2015年に英国 Super One のジュニアX30王者。四輪は2016年から。

31 + 16 + 13YEARS OF RACING HISTORY

それぞれのキャリアの経過年数を足したもの。#83 に投入された時間ではない。

「RACING SINCE」はカートを始めた年から数えている。確度は3人で同じではない。ハンソンは本人の公式サイトの年表、イェは報道、クビサは年を明記した競技団体の資料が無く、10歳で始めたという記述から広く1995年とされているもの。

TIME INSIDE THE CAR

24 HOURS ON TRACK.
DECADES BEFORE IT.

短いものから順に置く。単位も意味も違う。

  1. THE RACE

    24 HOURS

    ル・マン24時間。[7]

  2. ONE DRIVER

    4 HOURS / 6H

    1人のドライバーが運転できるのは、どの6時間を切り取っても最大4時間まで。運転時間にピットストップと赤旗中断は含みません。[7]

  3. PRE-EVENT

    8 DAYS

    およそ8日前、マラネロで Pre-Event 会議。[1]

  4. BEFORE THE RACE

    20 DAYS

    最初の会議「Build」が始まるのが、およそ20日前。空力の構成、ブレーキ、ソフトウェアと配線の仕様を決める。[1]

  5. THE CAR ITSELF

    4 YEARS

    シェイクダウンが2022年7月6日。競技デビューは2023年。[1]

  6. PHIL HANSON

    13 YEARS

    2013年、最初のカートレース。[8]

  7. YE YIFEI

    16 YEARS

    2010年、10歳でカートを開始。[11]

  8. ROBERT KUBICA

    31 YEARS

    10歳でカートを始めたとされる年から数えて。四輪転向は2001年。[12]

ここに並べたものは単位も性質も違う。棒の長さで比較できないので、層として置いている。

THE RACE LASTS 24 HOURS.GETTING THERE TAKES YEARS.

BEHIND THE THREE DRIVERS

THE DRIVER IS VISIBLE.
MOST OF THE SYSTEM ISN'T.

ヘルメットを被って映るのは3人。動いているのは、その3人だけではない。

  • ENGINEER仕様を決める
  • MECHANIC組む・直す
  • STRATEGY24時間の組み立て
  • DATA走行データの解析
  • SOFTWARE制御と設定
  • TYRES摩耗と選択
  • ENERGYスティントごとの配分
  • FACTORY分解・検査・再組立
  • LOGISTICS車両と部品の移動
  • SIMULATORコースごとの最適化
レースの何日前から
20日少人数で、その一戦に向けた車の仕様を決める。[1]
Pre-Event 会議
8日前 / 約40名マラネロに集まる。約40名は Ferrari の公式車両 #50・#51 を担当するエンジニアの人数。[1]
メカニック
約40名AF Corse の本拠地で、車両準備の各工程を担当する。[2]
1台の部品点数
3,000点超エンジンと電気モーターの内部部品を除いた数。[2]
ル・マン前の交換
最大70%短いレースの後は同じ部品で組み直すことも多い。ル・マンの前は最大70%を交換。[2]
設計上の走行距離
9,000km同じ部品のまま走れるように作られている距離。ル・マン24時間の走行距離を上回る。[2]

ここに出した人数は、いずれも Ferrari が公式車両(#50・#51)と Ferrari – AF Corse の体制について説明しているもの。#83 に何人が関わっているかは公表されていない。

BEFORE THE RACE STARTS,THE WORK HAS ALREADY STARTED.

OWNER SINCE 2026

YUSAKU MAEZAWA

前澤友作氏が「フェラーリ499P 83号車のオーナーになることになりました」と自身のアカウントで公表したのは、2026年6月13日、ル・マン24時間のスタート90分前[14]。

  1. 2023年5月

    MAEZAWA RACING の発足を発表[16]

  2. 2024年5月

    フェラーリ・チャレンジ・ジャパン第2戦(富士)でドライバーデビュー。レース2でクラス優勝[17]

  3. 2025年9月

    鈴鹿1000km(インターコンチネンタルGTチャレンジ)に参戦[18]

  4. 2026年6月13日

    #83 の車両オーナーになると公表[14]

WHEN EACH CLOCK STARTED

  1. 1995—

    ROBERT KUBICA[12]

    RACING

  2. 2010—

    YE YIFEI[11]

    RACING

  3. 2013—

    PHIL HANSON[8]

    RACING

  4. 2022—

    FERRARI 499P[1]

    SHAKEDOWN

  5. 2023—

    MAEZAWA RACING[16]

    TEAM

  6. 2024—

    YUSAKU MAEZAWA[17]

    RACING DRIVER

  7. 2026—

    YUSAKU MAEZAWA[14]

    OWNER OF #83

始まった時点だけを並べている。長さや量を比べる図ではない。

公表されているのは「車両オーナーになる」ということだけ。どのシャシーか、金額、売り手、契約の内容は公表されていない。本人の言葉も「昨年の優勝チームでもあるフェラーリ499P 83号車」であり、2025年の優勝車両と物理的に同じシャシーだとは述べていない。FIA WEC のエントリー上、#83 のエントラントは AF Corse のまま。

ONE NUMBER.MANY CLOCKS.

番号はひとつ。時計はいくつもある。

24 HOURS

いちばん速い1周では、勝てない

24時間のあいだに、条件は何度も変わる。

  • DAY昼
  • NIGHT夜
  • RAIN雨
  • TRAFFIC速さの違う車と混走
  • PITピット作業
  • DRIVER CHANGE乗り継ぎ
  • TYRES摩耗の管理
  • ENERGYエネルギーの配分
  • RELIABILITY壊れないこと

規則の側から見ると、この24時間は「1人では走れないようにできている」レースです。ドライバーは最大3人まで、リザーブは認められません。1人が運転できるのは、どの6時間を切り取っても最大4時間まで。登録したドライバーが1度も走らなかった場合、その車は失格になります(不可抗力と認められた場合を除く)。つまり、一人のドライバーだけで24時間を完結させることはできません。

運転時間の規定は、2026年ル・マン24時間の付則規則 第13条による<a class="fr-ref" href="#s7">[7]</a>。よく紹介される「合計14時間まで」の上限は LMP2 と LMGT3 のブロンズ/シルバー向けで、規則には「この運転時間の表はハイパーカー・カテゴリーには適用されない」と明記されている。ハイパーカーに掛かるのは6時間中4時間までの方だけ。

THE CLOCK SAYS 24 HOURS.THE CAR CARRIES YEARS.

まとめ

HOW MUCH TIME
IS INSIDE ONE RACE CAR?

一台のレーシングカーの中に、どれだけの時間が入っているのか。

SOURCES

出典

  1. [1] Ferrari 499P: the team's preparation before a race

    Ferrari(公式)2024年4月30日

    「Build」がレースの約20日前に始まること、Pre-Event 会議が8日前にマラネロで開かれ、公式車両 #50・#51 を担当する約40名のエンジニアが参加すること。499P のシェイクダウンが2022年7月6日であること。Giuliano Salvi(Ferrari Endurance Race Cars Race & Test Operation Manager)の説明。

  2. [2] Ferrari 499P, the Hypercar's pre-race preparation

    Ferrari(公式)2024年4月9日

    AF Corse 本拠地の約40名のメカニック、1台あたり3,000点超の部品、同じ部品で9,000kmを走れる設計、ル・マン前に最大70%の部品を交換すること。Batti Pregliasco(Team Manager)と Luca Massé(AF Corse Technical Manager)の説明。

  3. [3] Ferrari 499P and 499P Modificata: what sets them apart

    Ferrari(公式)2024年12月19日

    競技車両の 499P と、非競技・サーキット走行専用の 499P Modificata の違い。Modificata は2023年10月28日にムジェロで発表され、Sport Prototipi Clienti で走る。

  4. [4] FIA WEC — Car #83 (2026)

    FIA World Endurance Championship(公式)

    2026年の #83 のエントラントが AF Corse であること、車両が Ferrari 499P であること、ドライバーが Ye Yifei / Robert Kubica / Phil Hanson であること。

  5. [5] 24 Hours of Le Mans 2025 — Race summary

    FIA World Endurance Championship(公式)

    2025年ル・マン24時間の総合優勝が #83 AF Corse Ferrari 499P(Kubica / Hanson / Ye)、387周であること。

  6. [6] AF Corse team take Ferrari into the history books at Le Mans

    ACO / 24 Hours of Le Mans(公式)2025年

    主催者側による2025年の優勝発表。#83 と3人のドライバー名。

  7. [7] 2026 24 Hours of Le Mans — Supplementary Regulations(第13条 Categorisation, crews and driving time)

    ACO(公式PDF)

    「どの6時間の中でも1人あたり最大4時間」、ドライバーは最大3人でリザーブ不可、1度も走らなかったドライバーがいる場合は失格、運転時間にピットストップと赤旗中断を含まないこと。最小・最大運転時間の表がハイパーカーには適用されないことも同条に明記されている。

  8. [8] Phil Hanson — Profile

    philhansonracing.com(本人公式)

    年表に「2013 First Karting Race」「2015 Super One British Karting Championship – Junior X30 Champion」。生年月日1999年7月5日。

  9. [9] Phil Hanson — Driver profile

    Ferrari(公式)

    1999年7月5日ロンドン生まれ。2015年に Super One ジュニアX30王者、2016年から LMP3 で四輪レースを開始。2026年から Ferrari の公式ドライバー。

  10. [10] FIA WEC — Ye Yifei

    FIA World Endurance Championship(公式)

    生年月日2000年6月16日。

  11. [11] Chinese driver Ye Yifei wins Le Mans 24 Hours

    China Daily 2025年6月17日

    「began in karting back in 2010, when he was just 10 years old」。2年で中国カート選手権を連覇したこと。

  12. [12] Event programme: Robert Kubica, the consummate all-rounder

    European Le Mans Series(ACO系・公式)

    カートで6つのタイトルを獲ってから2001年に四輪へ転向したこと。カート開始の年は記載されていない。

  13. [13] FIA WEC — Robert Kubica

    FIA World Endurance Championship(公式)

    生年月日1984年12月7日、ポーランド、プラチナ。

  14. [14] 前澤友作氏の投稿(2026年6月13日 21:31)

    X / @yousuck2020(本人アカウント)

    「すでに発表された通り、昨年の優勝チームでもあるフェラーリ499P 83号車のオーナーになることになりました」。ル・マン24時間のスタート90分前、グリッド上からの投稿。

  15. [15] 夢のル・マン挑戦へ第一歩。前澤友作がWECに参戦するフェラーリ499Pの83号車オーナーへ

    autosport web 2026年6月13日

    MAEZAWA RACING が AF Corse の #83 フェラーリ499P の車両オーナーになるとの報道。

  16. [16] 前澤友作がレーシングチーム『MAEZAWA RACING』を始動

    autosport web 2023年5月18日

    チーム発足の発表。ファナテックGTワールドチャレンジ・アジアへの参戦。

  17. [17] 前澤友作、フェラーリ・チャレンジ・ジャパンでレーシングドライバーとしてデビュー

    autosport web 2024年5月

    2024年5月10〜12日、富士スピードウェイでの第2戦、コッパ・シェル・アマチュアクラスでのデビュー。レース2でクラス優勝。

  18. [18] 前澤友作、鈴鹿1000kmに参戦

    autosport web 2025年

    2025年9月、インターコンチネンタルGTチャレンジ第4戦・鈴鹿1000kmへの参戦。

確認できなかったので、書かなかったこと

  • どのシャシーなのか。本人の言葉は「昨年の優勝チームでもあるフェラーリ499P 83号車」で、2025年の優勝車両と同一のシャシーだとは述べていない。レース番号とシャシーの同一性は別の話。
  • 金額、売り手、契約の内容、期間。いずれも公表されていない。
  • Ferrari または AF Corse 側からの公表。両社の公式サイトと FIA WEC のエントリー情報には見当たらない。
  • #83 に何人のエンジニア・メカニックが関わっているか。Ferrari が示している人数は公式車両 #50・#51 と Ferrari – AF Corse の体制についてのもの。
  • クビサとイェがカートを始めた年の一次資料。競技団体の資料には年の記載が無く、年齢の記述と報道による。
  • 前澤氏がどれだけテストや走り込みをしたか。公表された走行記録の外は推測しない。