NAUSICAÄ 114.2m
はい、前澤さんのヨットです。
でも今日は、ヨットの話をします。
NAUSICAÄ(ナウシカ)は、前澤友作氏が発注した全長114.2mのメガヨットです。建造はドイツのLürssen、外装・内装のデザインはMarc Newson。7枚の曲面ガラスによるSkydome、Ice Class 1Dの船体補強、12.5m艇用のドライドックを備え、2026年5月に引き渡されました。
- Category
- Mega Yacht / 大型ヨット
- Builder
- Lürssen
- Design
- Marc Newson
- Owner
- Yusaku Maezawa(前澤友作)
同じモノを見ている。
話していることは、かなり違う。
OWNER MESSAGE
前澤友作(Yusaku Maezawa)
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「6年の歳月をかけ建造していた全長114.2mのメガヨットが遂に完成し航海に出ました」
完成の報告。語られているのは「かかった時間」。
-
「これで世界中の海を冒険したいと思います」
これから何をするか=用途と行き先の話。
-
「フィッシングボートや潜水艇も搭載しています」
船の中に何が積んであるか。遊べる装備の話。
-
「曲線を多用した柔らかなフォルムに、グレーとホワイトの2トーンカラー」
見た目の印象。どう見えるか。
-
「とにかく他に見たことのないユニークなヨットを作ること。そして柔らかなフォルムで仕上げること」
Marc Newson への発注時の要望として本人が説明したもの。
-
「世界中の海をどこでも航海できる丈夫な船にすること」
同じく発注時の要望。ここだけは、作り手側の仕様の話と直接つながる。
2026年5月26日のX投稿と、2025年8月14日の投稿を引用した記事から。引用は必要最小限にとどめ、意図の推測は行いません。
MAKER MESSAGE
Lürssen / Marc Newson
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Skydome — 7枚のガラスで構成した天蓋
上部構造の頂点に、ガラスだけでできた構造物を置いた。Lürssen公式は「7枚のパネルで構成されるガラス構造」と説明している。
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1枚1,050kg・厚さ62mmの曲面ガラス
1枚あたり3,000×2,800mm、厚さ62mm、重量1,050kg。それを7枚。運ぶ・持ち上げる・嵌める・揺れても割らない。
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重力を使った熱曲げと、実物大の試作
型に載せて加熱し、ガラス自身の重さで曲げる。量産前に1:1の実物大プロトタイプで工程を検証したとされる。
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Ice Class 1D に補強された船体
薄氷域を航行できる強度等級。行き先の希望が、そのまま船体構造の要求に変換されている。
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12.5m スポーツフィッシング艇用のドライドック
船内に、12.5mの船を丸ごと収める区画がある。Lürssen公式は「大型のドライドック」と説明している。
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ディーゼル・エレクトリック5基+全電動アジマスポッド
主機2基・補機3基で発電し、推進は全電動のアジマスポッド。エンジンと推進を切り離す構成。
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2MW のバッテリーによるサイレント運転
停泊中はホテル負荷をピークまでバッテリーで賄い、発電機を止める。静粛性は装備ではなく設計の帰結。
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平面を排した造形
平らな面をやめ、曲面・ルーバー・円筒形の鋼構造で全体を構成した、と造船所側は説明している。
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「構造的複雑さの限界を押し上げた」
Peter Lürssen は RISING SUN、KISMET に続く系譜として、規模と構造的複雑さの話をしている。
Lürssen公式サイト、Marc Newson Ltd公式サイト、および造船所のリリース素材に基づく専門媒体の記事から。「確認済み」は公式サイトで確認できたもの、「報道ベース」は専門媒体経由のものです。
- OWNER
- 世界中の海へ。
- BUILDER
- その前に、1トンのガラスを7枚載せました。
オーナーは「どこへ行くか」を語る。作り手は「どうやって作ったか」を語る。どちらも同じ船の話をしている。ただ、語っている層が違う。
同じモノについて、
どこまで同じ話をしている?
前澤氏本人の公開発信と、Lürssen / Marc Newson 側の公開発信から、それぞれ言及が確認できたテーマを並べました。重なっている部分と、片方だけが詳しく語っている部分が見えます。
OWNER 11 themes
MAKER 21 themes
片方だけが言及 双方が言及
公開発信で確認できたテーマの広がりを表示しています。人物の理解度を評価するものではありません。SNS投稿と造船所のプレス資料では、そもそも書く目的も分量も違います。
OWNER TALKS ABOUT5
前澤友作氏のX投稿および本人発言を引用した記事から
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6年という時間
「6年の歳月をかけ建造していた」。完成の報告で最初に置かれているのは、かかった年月です。
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NAUSICAÄ という命名
「正式名をNAUSICAÄ(ナウシカ)と名づけました」。名前は本人が発表しています。
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潜水艇
「フィッシングボートや潜水艇も搭載しています」。テンダーについては造船所側も説明していますが、潜水艇への言及は本人側だけで確認できました。
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日本への寄港
「日本には9月ごろ寄港予定です。見かけたら手振ってください」。どこへ持っていくか、という話。
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「彫刻アート作品のような船体」
完成した船体への本人の評価。デザイナーの仕事に対する評価として書かれています。
OVERLAP6
双方が言及しているテーマ
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世界を航海する
- OWNER
- 「これで世界中の海を冒険したいと思います」
- MAKER
- Lürssen公式は NAUSICAÄ を「world cruising のために設計された」船と説明。
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どこでも行ける丈夫さ
- OWNER
- 発注時の要望として「世界中の海をどこでも航海できる丈夫な船にすること」
- MAKER
- Lürssen公式は「Ice Class 1D に補強された船体」で薄氷域も熱帯も航行できると説明。
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柔らかな曲線のフォルム
- OWNER
- 「曲線を多用した柔らかなフォルムに、グレーとホワイトの2トーンカラー」
- MAKER
- 造船所側の説明では、平らな面を排し、曲面・ルーバー・円筒形の鋼構造で構成。
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前例のないものにする
- OWNER
- 「とにかく他に見たことのないユニークなヨットを作ること」
- MAKER
- Lürssen公式は「daringly unconventional(大胆に型破り)」と表現。Marc Newson は形・素材・機能の限界を試す機会だったと述べている。
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Marc Newson という設計者
- OWNER
- 「デザイン責任者はマークニューソン氏です」「マークの類稀な才能によって」
- MAKER
- Lürssen公式は Newson に「解放的なまでの創作の自由」が与えられたと説明。Newson 公式も本船の総合デザイン担当と明記。
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フィッシングボートを積む
- OWNER
- 「フィッシングボートや潜水艇も搭載しています」
- MAKER
- Lürssen公式は「12.5mスポーツフィッシング艇のための大型ドライドック」と説明。
MAKER TALKS ABOUT15
Lürssen公式・Marc Newson公式・造船所リリースに基づく記事から
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Skydome(7枚のガラス天蓋)
上部構造の頂点を、7枚のガラスパネルだけで構成した。
何がある?
Lürssen公式は Skydome を「7枚のパネルで構成されるガラス構造」と説明しています。その下は56㎡・天井高3.15mのオーナーオフィスで、円形レール上のブロンズのシャッターで採光を調整します。
なぜ難しい?
ガラスは重く、脆く、変形を許さない材料です。それを船の一番高いところに置くと、重心が上がって復原性に効きます。航行中の船体はたわみ、ねじれ続けるので、その動きをガラスに伝えない支持構造が要ります。
どうやって実現した?
曲面ガラスの成形、合わせガラスによる安全性確保、船体変形を吸収する弾性支持のグレージング設計。据付には専用治具とクレーン計画が要ります。(成形工程は次の項目)
誰が関わった?
Lürssen。Peter Lürssen は RISING SUN、KISMET に続く系譜として位置づけています。ガラスそのものの製造企業は公式情報未確認です。
一次情報を読む
- Lürssen 公式 NAUSICAÄ Lürssen
- Navis Yachts Navis Yachts
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1枚1,050kg・厚さ62mmの曲面ガラス
3,000×2,800mm、厚さ62mm、重量1,050kg。それが7枚。
何がある?
報道によれば、Skydome の各パネルは3,000×2,800mm、厚さ62mm、重量1,050kg。7枚合わせておよそ7.35トンが、船の最上部に載っています。
なぜ難しい?
曲面ガラスは、大きくなるほど成形できる曲率と歩留まりの限界に近づきます。厚さ62mmという寸法は、割れないための強度と、曲げやすさが真っ向から対立する領域です。
どうやって実現した?
報道では、型の上で加熱してガラス自身の重さで沈ませる「重力式の熱曲げ」で成形されたとされています。温度は精密に制御され、量産前に1:1の実物大プロトタイプで工程が検証されました。
誰が関わった?
工程開発と据付は Lürssen。ガラスメーカーは公式情報未確認です。
一次情報を読む
- Navis Yachts Navis Yachts
- Wallpaper* Wallpaper*
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平面を排した造形
平らな面をやめ、曲面・ルーバー・円筒形の鋼構造で全体を組んだ。
何がある?
造船所側の説明では、この船のデザインは平らな面を排し、曲面、ルーバー(羽根状の要素)、円筒形の鋼構造で構成され、それらが幾何学的な精度で船内外に反復されています。
なぜ難しい?
二方向に曲がった複曲面は、平らな鋼板からは作れません。加熱曲げ・プレス・分割溶接が要り、継ぎ目を消すには溶接後のひずみ取りと面出しが延々と発生します。曲面が増えるほど部品は一点物になります。
どうやって実現した?
3Dでの外板展開、線状加熱や冷間・熱間曲げ、治具による形状管理、溶接ひずみの矯正、そして塗装前の面出し。(この段落は造船一般の説明で、本船固有の工程ではありません)
誰が関わった?
デザインは Marc Newson、建造は Lürssen。Peter Lürssen は「規模と構造的複雑さの限界を押し上げ続けている」と述べています。
一次情報を読む
- Navis Yachts Navis Yachts
- Yacht Style Yacht Style
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ディーゼル・エレクトリック5基
主機2基+補機3基で発電し、推進は電気で行う。
何がある?
報道によれば機関は5基のディーゼルエンジン(主機2・補機3)で構成され、推進は全電動のアジマスポッドが担います。
なぜ難しい?
エンジンで直接プロペラを回す構成に比べ、発電機・変換器・モーターと機器が増え、重量と容積、そして熱と電磁環境の管理が増えます。制御の統合も複雑になります。
どうやって実現した?
発電と推進を切り離すことで、負荷に応じて動かすエンジンの数を変えられ、低負荷域の効率と騒音が改善します。ポッド推進は舵を持たず、推進器ごと向きを変えます。
誰が関わった?
システム統合は Lürssen。エンジン・ポッドのメーカー名は公式情報未確認です。
一次情報を読む
- Boat International(引き渡し) Boat International
- Baird Maritime Baird Maritime
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全電動アジマス推進ポッド
舵ではなく、推進器そのものを回して進む方向を変える。
何がある?
報道では推進に「fully electric azimuthing podded thrusters(全電動のアジマス式ポッド推進器)」が使われています。
なぜ難しい?
ポッドは船体外に吊り下がる可動部で、そこにモーターと配線と潤滑・冷却が入ります。荷重も振動もすべて船体との接合部に集まり、保守のたびに水中作業か上架が要ります。
どうやって実現した?
船体側は接合部の強度と水密、船内側は電力変換と制御。舵を持たない代わりに、低速時の操船性と係留のしやすさが上がります。
誰が関わった?
Lürssen。ポッドの供給元は公式情報未確認です。
一次情報を読む
- Boat International(引き渡し) Boat International
- Baird Maritime Baird Maritime
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2MWバッテリーとサイレント運転
停泊中、ホテル負荷をピークまでバッテリーで賄い、発電機を止める。
何がある?
報道によれば2MW級のバッテリープラントを搭載し、ピーク負荷時でも船内の全ホテルシステムをバッテリーだけで賄えるとされています。発電機を止めた静粛・無排出の停泊運転が可能です。
なぜ難しい?
船の騒音でやっかいなのは、機械の振動が構造を伝わって別の場所で音になる固体伝搬音です。ヨットは客室と機関室が近く、発生源も分散しています。「静かな部品を選ぶ」では解決しません。
どうやって実現した?
発電機を止めるという、最も直接的な解。ただしバッテリーは、消火・熱暴走対策・区画設計という別の課題を持ち込みます。
誰が関わった?
Lürssen。バッテリーの供給元は公式情報未確認です。
一次情報を読む
- Baird Maritime Baird Maritime
- Boat International(引き渡し) Boat International
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メタノール燃料電池への対応
将来、燃料電池を積めるように場所と系統を用意してある。
何がある?
報道では、メタノールから水素を取り出して発電する燃料電池の将来設置に向けた provision(設置対応)が備えられているとされています。
なぜ難しい?
燃料電池の追加は、燃料タンク・改質装置・排気・安全区画・船級の承認をまとめて必要とします。竣工後に足すには、あらかじめ場所と配管と重量を確保しておくしかありません。
どうやって実現した?
竣工時点で系統と区画を用意し、技術と規則が追いついた段階で搭載する、という段取り。
誰が関わった?
Lürssen の研究開発。燃料電池の供給元は公式情報未確認です。
一次情報を読む
- Boat International(引き渡し) Boat International
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16トン対応のテンダー・ドライドック
12.5mの艇を船内に収め、そりで海面まで送り出す。
何がある?
Lürssen公式は12.5mスポーツフィッシング艇のための大型ドライドックを挙げています。報道によれば16トン対応のスレッジ(そり)式装置がスイムプラットフォーム越しに艇を出し入れし、艇を降ろすとレールが引き込まれて区画はチーク張りの平らなデッキに変わります。
なぜ難しい?
12.5mの艇と出し入れ機構が、船体中央〜船尾の一番使いたい容積を占有します。船尾に大きな開口を設けることは、構造の連続性と水密性の両方を切る行為で、補強とシール設計が要ります。可動部は海水と荷重に晒され続けます。
どうやって実現した?
スレッジとレールによる launch & recovery、水密扉と開口部周りの構造補強、区画の排水系。デッキに転用する機構は、位置決め精度と防水の両立が要ります。
誰が関わった?
Lürssen。機構の供給元は公式情報未確認です。
一次情報を読む
- Lürssen 公式 NAUSICAÄ Lürssen
- Navis Yachts Navis Yachts
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上甲板を一周するガラスバンド
上甲板の外周をぐるりとガラスで巻き、船首の展望ラウンジで終わる。
何がある?
Lürssen公式は、上甲板全体を巻くガラスバンドが船首の展望ラウンジで完結し、その真上に船首ヘリパッドが載る構成だと説明しています。報道では展望ラウンジの幅は19m。
なぜ難しい?
外周を連続したガラスにすると、そのぶん構造として使える壁が減ります。上部構造の剛性を確保しながら開口を最大化するのは、直接的なトレードオフです。
どうやって実現した?
開口の少ない部分に構造を集約し、ガラス部分は支持を弾性化する。上に載るヘリパッドの荷重経路も別に通す必要があります。(後段は造船一般の説明です)
誰が関わった?
Marc Newson(デザイン)/Lürssen(構造・艤装)。
一次情報を読む
- Lürssen 公式 NAUSICAÄ Lürssen
- Yacht Style Yacht Style
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Ice Class 1D と Lloyd's Register 船級
薄氷域を航行できる船体補強と、それを担保する船級。
何がある?
Lürssen公式は「Ice Class 1D に補強された船体」により、薄氷条件下でも安全に航行でき、熱帯でも極海でも同じように使えると説明しています。報道では船級は Lloyd's Register(+100A1 SSC Yacht、+LMC、UMS、Hybrid Power)、船籍はバミューダ。
なぜ難しい?
氷の等級は「頑丈にしました」では取れません。外板厚、フレーム間隔、船首・船尾の補強範囲、推進器の保護まで、規則が定めた要求を満たし、検査を通す必要があります。重量も増えます。
どうやって実現した?
設計段階から船級規則に沿って構造を決め、建造中の検査を通し、就航後も定期検査で維持する。船級は一度取って終わりではありません。
誰が関わった?
Lürssen(設計・建造)と Lloyd's Register(船級)。
一次情報を読む
- Lürssen 公式 NAUSICAÄ Lürssen
- Baird Maritime Baird Maritime
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2層アトリウムとアートギャラリー
主甲板をアートギャラリーとし、その上を吹き抜けでつなぐ。
何がある?
Lürssen公式は、主甲板をアートギャラリーに充てた2層のアトリウムを挙げています。報道では中央に大型の彫刻が置かれ、上層には円形のバルコニー、寿司カウンター、卓球スペースがあるとされています。
なぜ難しい?
船に吹き抜けを作ることは、水平の構造材を抜くことです。加えて、防火区画・避難経路・空調・騒音が階をまたいで連続してしまいます。
どうやって実現した?
周囲に構造を寄せて剛性を確保し、防火区画は開口部の防火シャッターや区画変更で成立させる。(造船一般の説明です)
誰が関わった?
Marc Newson(デザイン)/Lürssen(構造・艤装)。
一次情報を読む
- Lürssen 公式 NAUSICAÄ Lürssen
- Navis Yachts Navis Yachts
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鋼製船体+アルミ製上部構造
下は鋼、上はアルミ。重心と強度のための素材の使い分け。
何がある?
報道では船体は鋼、上部構造はアルミ、6層構成。総トン数6,593GT、全幅18.7m、喫水4.7m。
なぜ難しい?
鋼とアルミは直接溶接できず、電位差による腐食も起こします。接合部には専用の遷移継手が要ります。
どうやって実現した?
爆着接合などで作られた遷移継手を介して接合し、絶縁と防食を設計する。上部を軽くすることで重心を下げ、復原性を稼ぎます。(後段は造船一般の説明です)
誰が関わった?
Lürssen。
一次情報を読む
- Baird Maritime Baird Maritime
- Boat International(艇データ) Boat International
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4年の建造工程
2022年1月起工 → 2025年8月進水 → 2025年11月海上試運転 → 2026年5月引き渡し。
何がある?
報道による建造スケジュールです。前澤氏の言う「6年の歳月」は、起工前の設計・エンジニアリング期間を含んだ数字とみられます。造船所側は、完成した船が6年前の当初デジタルデザインから変わっていないと説明しています。
なぜ難しい?
6年前に決めた形を、そのまま完成させることのほうが難しい選択です。途中で規則も技術もサプライヤーの都合も変わります。
どうやって実現した?
詳細設計を前倒しで固め、変更を出さない。Marc Newson は「構想段階のビジョンを文字どおり実現できることは、どんな分野のデザインでも極めて難しい」と述べています。
誰が関わった?
Lürssen(建造)/Marc Newson(デザイン)。
一次情報を読む
- Boat International(引き渡し) Boat International
- Wallpaper* Wallpaper*
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ゲスト18名に対して乗員定員36名
9キャビンのゲストを支える体制として、乗員は最大36名。
何がある?
専門媒体のデータベースによれば、ゲスト18名(9キャビン)、乗員36名。ただし36名は「最大36名まで乗せられる」という定員としての記述もあり、常時の乗組人数は公式情報未確認です。
なぜ難しい?
航海当直は24時間止められず、機関は保守を前提に動き、造水・汚水処理・電力・空調・消防・救命の各系統に管理責任者が要ります。加えてゲスト対応、調理、清掃、テンダーと潜水艇の運用。
どうやって実現した?
船長を頂点とする指揮系統と、デッキ・機関・インテリア各部門の分業。国際航海では資格・労働時間・安全管理が条約と旗国の規則に縛られます。
誰が関わった?
運航体制の詳細は公式情報未確認です。数値は専門媒体のデータベースによります。
一次情報を読む
- Boat International(艇データ) Boat International
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ガラス技術の系譜
RISING SUN → KISMET → NAUSICAÄ という、造船所側の自己認識。
何がある?
Peter Lürssen は「ガラスにおける革新は長らく Lürssen の特徴だった」とし、RISING SUN から KISMET、そして NAUSICAÄ へと規模と構造的複雑さの限界を押し上げ続けていると述べています。また本船を「truly broken new ground(真に新しい地平を開いた)」と表現しました。
なぜ難しい?
1隻ごとに前例を超える必要があるため、毎回どこかが未検証になります。だから実物大の試作が要ります。
どうやって実現した?
過去艇で得た工程を土台にし、今回は重力式熱曲げの1:1プロトタイプ検証で新しい寸法域に踏み込んだ、という順序です。
誰が関わった?
Lürssen。引き渡しは造船所の創業150周年の年にあたります。
一次情報を読む
- Yacht Style Yacht Style
- Navis Yachts Navis Yachts
- OWNER
- 柔らかなフォルムで。
- BUILDER
- では、平らな面をやめました。
そのうえで、1枚1,050kgのガラスを7枚、重力で曲げています。
どちらの発言も、公開されている情報からの要約です。
で、このヨット何がすごいの?
スペック表を眺めても、たぶん何も起きません。 引っかかるところから開いてください。
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01 なんで114mなのに、こんなに丸い?
何が変なのか
前澤氏がMarc Newsonに出した要望は「他に見たことのないユニークなヨット」「柔らかなフォルム」でした。造船所側の説明では、その結果この船は平らな面を排し、曲面・ルーバー・円筒形の鋼構造で構成されています。全長114.2m、鋼製船体・アルミ製上部構造の船で、これは素直な選択ではありません。
なぜ難しいのか
平面と単曲面(円筒のように一方向にだけ曲がった面)だけで構成すれば、鋼板はローラーで曲げるだけで済みます。二方向に曲がった複曲面は、平らな鋼板からは作れません。加熱して曲げる、プレスする、細かく分割して溶接する、といった工程が要ります。継ぎ目を目立たせないためには、溶接後にひずみを取り、面を整える作業が延々と発生します。曲面が増えるほど部品は一点物になり、量産が効きません。
どんな技術が必要か
3Dでの外板展開、鋼板の線状加熱や冷間・熱間曲げ、治具による形状管理、溶接ひずみの矯正、最後に人の手による面出しと塗装。塗装は曲面ほど不均一が目立つため、要求される平滑度も上がります。(この段落は造船一般の説明で、本船固有の工程ではありません)
誰が実現したのか
デザインはMarc Newson。Marc Newson Ltd の公式プロフィールにも「Nausicaä(6,500 GT, 114.2 m)の総合デザイン」と明記されています。建造はLürssen。Peter Lürssen は本船について「規模と構造的複雑さの限界を押し上げ続けている」と述べています。
一次情報を読む
- Navis Yachts Navis Yachts
- Marc Newson 公式 Marc Newson Ltd
- Yacht Style Yacht Style
報道ベース/一次情報 確認中
-
02 1トンのガラスを7枚載せるってどういうこと?
何が変なのか
上部構造の頂点にある「Skydome」は、7枚のガラスパネルで構成されています。1枚あたり3,000×2,800mm、厚さ62mm、重量1,050kg。その下は56㎡・天井高3.15mのオーナーオフィスです。ガラスは船にとって、重くて、脆くて、できれば高いところに置きたくない材料です。
なぜ難しいのか
重量物を高い位置に置くと重心が上がり、復原性に効きます。船体は航行中つねにたわみ、ねじれますが、ガラスは変形を許さない材料なので、船体の動きをガラスに伝えない支持構造が必要です。さらに曲面ガラスは、大きくなるほど製造できる曲率と歩留まりの限界に近づきます。
どんな技術が必要か
報道によれば、各パネルは型の上で加熱し、ガラス自身の重さで曲げる「重力式の熱曲げ」で成形され、量産前に1:1の実物大プロトタイプで工程が検証されました。加えて、合わせガラスによる安全性確保、船体変形を吸収する弾性支持のグレージング設計、据付のための専用治具とクレーン計画が要ります。
誰が実現したのか
工程開発と据付はLürssen。Peter Lürssen は「ガラスにおける革新はLürssenの一貫した特徴」と述べ、RISING SUN、KISMET に続く系譜として位置づけています。ガラスそのものを製造したメーカーは公式情報未確認です。
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03 なんで船の中に12.5mの船が入っている?
何が変なのか
前澤氏は「フィッシングボートや潜水艇も搭載しています」と書いています。造船所側の説明では、船内に12.5mのスポーツフィッシング艇用の大型ドライドックがあり、16トン対応のスレッジ(そり)式装置がスイムプラットフォーム越しに艇を出し入れします。艇を降ろすとレールが引き込まれ、区画はチーク張りの平らなデッキに変わるとされています。
なぜ難しいのか
第一に体積です。12.5mの艇と出し入れ機構が、船体中央付近の一番使いたい容積を占有します。第二に開口です。船尾に大きな扉と開口を設けることは、構造の連続性と水密性の両方を切る行為で、補強とシール設計が要ります。第三に、可動部が海水と荷重に晒され続けます。
どんな技術が必要か
スレッジとレールによる launch & recovery、水密扉と開口部周りの構造補強、区画の排水系、そして重量物の移動を織り込んだ復原性計算。区画をデッキに転用する機構は、位置決め精度と防水を両立させる必要があります。
誰が実現したのか
艤装はLürssen。ドック機構の設計・供給元は公式情報未確認です。
一次情報を読む
- Lürssen 公式 NAUSICAÄ Lürssen
- Navis Yachts Navis Yachts
- 前澤友作 X投稿(2026/5/26) X(@yousuck2020)
報道ベース/一次情報 確認中
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04 どうやってこんな巨大船を静かに動かす?
何が変なのか
機関はディーゼル・エレクトリックで、主機2基・補機3基の計5基の発電エンジンと、全電動のアジマス推進ポッドで構成されると報じられています。さらに2MWのバッテリーを積み、停泊中はホテル負荷をピークまで賄って発電機を止められるとされています。将来のメタノール燃料電池設置にも対応。
なぜ難しいのか
船の騒音でやっかいなのは、機械の振動が構造を伝わって別の場所で音になる固体伝搬音です。主機、発電機、ポンプ、空調、プロペラの圧力変動まで発生源が分散し、しかもヨットは客室と機関室の距離が短い。静粛性は「静かな部品を選ぶ」ではなく、船全体のレイアウトと構造の問題になります。
どんな技術が必要か
発電と推進を切り離すディーゼル・エレクトリック構成、防振マウントと二重弾性支持、遮音・制振材、キャビテーションを抑えた推進器と船尾形状、そしてバッテリーによる発電機停止運転。バッテリーは静粛性と引き換えに、消火・熱暴走対策という別の設計課題を持ち込みます。
誰が実現したのか
システム統合はLürssen。エンジン・ポッド・バッテリーの各サプライヤー名は公式情報未確認です。
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05 乗員定員36名は何をしている?
何が変なのか
専門媒体のデータでは、ゲスト18名(9キャビン)に対して乗員36名。ただしこの36名は「最大36名まで乗せられる」という定員としての記述もあり、常時何名が乗り組んでいるかは公式情報未確認です。いずれにせよ、動かすだけなら足りない人数ではありません。この規模の船は「船」というより、小さなホテルと発電所と工場が同居した建物に近い運用実態を持ちます。
なぜ難しいのか
航海当直は24時間止められません。機関はメンテナンスを前提に動いています。造水、汚水処理、電力、空調、消防、救命の各系統に管理責任者が要ります。加えてゲスト対応、調理、清掃、テンダーや潜水艇の運用がある。国際航海に出れば、資格・労働時間・安全管理が条約と旗国の規則に縛られます。
どんな技術が必要か
これは技術ではなく組織の話です。船長を頂点とする指揮系統、デッキ・機関・インテリア各部門の分業、Lloyd's Register の船級維持と定期検査、そして乗員の訓練と資格。モノを動かし続けるのは、最終的に人です。
誰が実現したのか
乗員36名・ゲスト18名は専門媒体のデータベースの数値です。36名が定員なのか常時の乗組人数なのか、また部門ごとの内訳は公式情報未確認です。
「なぜ難しいのか」「どんな技術が必要か」は、造船・構造の一般論として書いています。 本船に固有の設計判断は、一次情報を確認できたものだけを記載します。
数字で見る
- Length
- 114.2 m
- Beam
- 18.7 m
- Draft
- 4.7 m
- Gross tonnage
- 6,593 GT
- Builder
- Lürssen
- Design
- Marc Newson(外装・内装とも)
- Type
- モーターヨット(Displacement / Expedition)
- Hull / superstructure
- 鋼製船体/アルミ製上部構造
- Ice class
- Ice Class 1D に補強された船体
- Propulsion
- ディーゼル・エレクトリック5基(主機2+補機3)+全電動アジマスポッド
- Batteries
- 2 MW(停泊時のサイレント運転に対応)
- Fuel cell
- 将来のメタノール燃料電池設置に対応(provision)
- Skydome
- 7枚の曲面ガラス(各3,000×2,800mm・厚さ62mm・1,050kg)/下部は56㎡・天井高3.15m
- Tender dock
- 12.5m スポーツフィッシング艇用ドライドック(16トン対応スレッジ式)
- Guests / crew
- ゲスト18名(9キャビン)/乗員 最大36名(定員)
- Class / flag
- Lloyd's Register(+100A1 SSC Yacht, +LMC, UMS, Hybrid Power)/バミューダ籍
- Build
- 2022年1月 起工 → 2025年8月 進水 → 2025年11月 海上試運転 → 2026年5月 引き渡し
所有者は1人。
海に出すには、1人では足りない。
この船には、はっきり違う3種類の関わり方があります。生まれさせる人、形にする人、そして毎日それを使える状態に保つ人。どれが欠けても、この船は海の上にいられません。
ROLE, NOT RANK 人数は順位ではありません。役割の違いです。
OWNER / COMMISSIONER
生まれさせる
1名 確認済み
この船を生まれさせた人。
Capital / Commission / Direction / Use
- Yusaku Maezawa
- 資金を出す
- 発注する
- 方向性を決める
- 仕様を選ぶ
- プロジェクトリスクを負う
- 完成後に利用する
もっと見る
仕様
本人の説明によれば、Marc Newson への要望は3つ。「他に見たことのないユニークなヨットを作ること」「柔らかなフォルムで仕上げること」「世界中の海をどこでも航海できる丈夫な船にすること」。3つ目は、そのまま Ice Class 1D の船体補強という技術要求につながっています。
MAKERS
形にする
人数非公表 Multiple specialist teams
「こうしたい」を、「本当に浮く」に変える人たち。
図面は、海では浮きません。
Design / Structure / Fabrication / Integration / Test
- Marc Newson
- Lürssen
- Engineers
- Fabricators
- Glass specialists
- Systems integrators
- Craftspeople
- Suppliers
- デザイン
- 構造設計
- 船体製造
- ガラス加工
- 推進系統合
- 内装
- 電装
- 試験
- 品質確認
もっと見る
Marc Newson
外装、内装、細部の技術ディテールまでを一貫して担当。公式プロフィールにも本船(6,500 GT, 114.2 m)の総合デザイン担当と明記されています。
曲面ガラス
Skydome の7枚のパネルは1枚あたり3,000×2,800mm、厚さ62mm、重量1,050kg。型の上で加熱し、ガラス自身の重さで曲げる工程で成形され、量産前に1:1の実物大プロトタイプで検証されたと報じられています。
構造
平らな面を排し、曲面・ルーバー・円筒形の鋼構造で全体を構成。さらに Ice Class 1D に補強された船体。「柔らかなフォルム」という要望は、作る側では加工と精度の問題として現れます。
サプライヤー
ガラスの製造元、推進系・バッテリーの供給元は公式情報未確認です。判明し次第このセクションに追記します。
KEEPERS / OPERATORS
保ち続ける
最大36名 乗員定員(ゲスト18名・9キャビンに対して)。常時36名かは公式情報未確認
完成したあと、毎日この船を完成させ直す人たち。
Navigation / Engineering / Maintenance / Safety / Service
- Captain
- Engineers
- Deck crew
- Interior crew
- Maintenance
- Hospitality
- Safety
- 操船
- 機関管理
- 電気系統
- 修理
- 清掃
- 安全
- 食事
- 接客
- 点検
- 日常保守
もっと見る
Captain
指揮系統の頂点。航路、天候判断、入出港、そして安全の最終責任。船が動くかどうかを毎日決めています。
Engineering
主機と発電機、造水、汚水処理、空調、電力。24時間の当直で、止められない系統を止めないようにしている部門です。
Maintenance
壊れる前に直す。塗装、ガラスのシーリング、可動部、腐食。放置すれば、114mの船でも数年で見た目から崩れます。
内訳について
乗員36名という数字は専門媒体のデータベースで確認できたものです。ただし「最大36名まで乗せられる」という定員としての記述もあり、常時の乗組人数と部門ごとの配分はいずれも公式情報未確認です。
関わる時間の性質が違う。
どの段階が欠けても、この船は海の上にいられません。長さの比較ではなく、性質の違いを見てください。
-
BEFORE BUILD つくる前
OWNER
- 発注
- 資金
- 要求
何を作るかが決まる。ここが無ければ、あとの全部が始まりません。
-
BUILD つくる
MAKERS
- 設計
- 製造
- 試験
2022年1月の起工から2026年5月の引き渡しまで。
-
AFTER DELIVERY 引き渡し後
KEEPERS
- 運航
- 保守
- 修理
- 安全
完成した瞬間から、止まらない仕事が始まります。
-
EVERY DAY 毎日
KEEPERS
- 翌日も続く
終わりが設定されていない唯一の段階です。
買うのは一度。
維持は毎日。
- OWNER
- 「完成しました。」
- CREW
- 「こちらは今日も完成させています。」
役割の違いを示す編集表現です。実際の発言の引用ではありません。
所有者は1人。「所有して使える状態」を支えるのは36人。
前澤さんが船を持っている。36人が、船を船のままにしている。
「6年」を、日に戻してみる。
同じ単位で並べると、少し違って見える。
この船にかかった時間と、使われた時間と、使える状態に保たれている時間。単位を「年」と「日」で混ぜると比べられなくなるので、すべて「日」に揃えました。
BUILD CLOCK 造る時計
APPROX.
1,603 DAYS
カウント終了
USE CLOCK 使う時計
2 DAYS+
カウント中
MAINTENANCE CLOCK 保つ時計
100 DAYS
カウント中
APPROX.1,603DAYS
TO BUILD
2DAYS+
PUBLICLY CONFIRMED USE
確認できなかった日は「使っていない日」ではありません。ここに出ているのは、公開情報で利用が確認できた日数だけです。
建造の日付
- 建造開始
- 2022年1月 月まで BOATProのデータとして報じられたもの。日付までは確認できていません。
- 起工(キール据付)
- 2022年3月7日 この日付を記載する艇データベースがありますが、同じページが進水・引き渡しの年月を他媒体と食い違って書いているため、参考値として扱います。
- 進水
- 2025年8月 月まで
- 海上試運転 開始
- 2025年11月 月まで 12月に試運転完了と造船所が発表。
- 引き渡し
- 2026年5月23日 Lürssenが引き渡しを発表した日。同日07:45 UTCにレンズブルクの造船所を出港したと報じられています。
起点の精度が月単位のため、上の日数は月初を仮の起点とした概算です(2022年1月中のどの日を起点にしても 1,573〜1,603 日の範囲)。 起工日を 2022年3月7日 とする記述に従えば 1,538 日ですが、その出典は他の日付で矛盾があるため採用していません。
「6年の歳月をかけ建造していた」 本人の言う「6年」は、起工前の設計・エンジニアリング期間を含む数字とみられます。造船所側も、完成した船が6年前の当初デジタルデザインから変わっていないと説明しています。日数への単純換算はしていません。
公開情報で確認できた利用日
-
2026-08-25
X投稿「メガヨット『NAUSICAÄ』でのヨットライフが始まりました。世界中の海を冒険します。」
-
2026-08-26
X/Instagram投稿。ヘリコプターで着艦して乗り込む様子、マウイ島沖、海上からダイヤモンドヘッドを望む写真。
「公開情報で利用が確認できた日数」です。確認できなかった日を「使っていない日」として数えてはいません。本人の投稿や報道が見つかるたびに増えます。なお上記2日は、同一の投稿を媒体が別の日付で報じている可能性があります。
- BUILD
- 約1,603日。
- USE
- まだカウント中。
- MAINTENANCE
- こちらもカウント中。
役割ごとの時間の進み方を並べた編集表現です。
今日は、誰の仕事でこの船が成立している?
価値の主役を、所有者に固定しません。その瞬間に実際に船を成立させている人を主役にします。
STATE A
BUILDING 造っている
主役 MAKERS
- Marc Newson
- Lürssen
- Engineers
- Technicians
- Craftspeople
- Suppliers
この時期、船はまだ「所有物」ではなく、仕事の途中。
2022年1月〜2026年5月23日
STATE B TODAY
READY / NOT PUBLICLY USED 使える状態に保たれている
主役 KEEPERS
- Captain
- Engineers
- Deck crew
- Interior crew
- Maintenance
- Safety
- Service teams
乗っていない日も、船は勝手に船ではいられない。
使われていない時間にも、維持の時間は進む。
公開情報で利用が確認できない日
NOT SAILING
- Maintenance
- Inspection
- Cleaning
- Engine systems
- Electrical systems
- Safety
- Provisioning
- Crew readiness
使わない日にも、維持する人の一日は使われている。
STATE C
ACTIVELY USED 実際に使われている
主役 OWNER + CREW
- Yusaku Maezawa
- Captain
- Engineers
- Crew
今日は、所有が「使用」になっている。
本人の投稿等で乗船・航海が確認できる日
本日の状態は、公開情報からの推定です。「乗っていないことの確認」ではありません。確認できた利用日にあたる日は STATE C、それ以外の引き渡し後の日は STATE B として表示しています。(ページ生成時点:2026-08-31)
AFTER DELIVERY
引き渡しのあと、時間は3つに分かれる。
完成したモノには、少なくとも3つの時間があります。使う時間、動かし続ける時間、そして必要になったときだけ作り手側が戻ってくる時間です。
-
USE
使う
Owner / Guests オーナー・ゲスト
所有が「使用」になっている時間。
-
KEEP RUNNING
動かし続ける
Crew / Maintenance クルー・保守
使っていても使っていなくても進む時間。
-
IF SOMETHING NEEDS FIXING
もし技術対応が必要になれば
Builder / Engineers / Suppliers 造船所・設計者・メーカー
必要になったときだけ、作り手側が関与する時間。常時ではありません。
完成後も、モノは人との関係を切らない。
価値の主役は固定されません。状況によって、関わる人が変わります。
引き渡しは、できる。技術的な関係までは、必ずしも引き渡せない。
完成は、サポート終了の意味ではない。
- 実際に不具合があったという話ではありません。ここに書いているのは、一般に大型・高精度の工業製品で起こりうる関わり方の構造です。
- 不具合が起きた場合の原因は、設計・製造・部品・経年劣化・運用・保守・外的要因など複数があり得ます。原因によって、どこが対応するかは変わります。
- NAUSICAÄの建造・製造契約、保証期間、アフターサービスの条件について、本サイトは一次情報を確認していません。そのため「誰が何年保証する」「不具合は誰の責任」といったことは書きません。
SCALE, NOT MULTIPLICATION
-
BUILD
APPROX. 1,603 DAYS
MULTIPLE SPECIALIST TEAMS
人数非公表
-
READY / OPERATING
100 DAYS IN SERVICE
CREW CAPACITY 36
乗員定員36名(常時人数は未確認)
-
USE
2 DAYS+ CONFIRMED PUBLIC USE
OWNER + CREW
所有が使用になっている日
人日(人数×日数)の掛け算はしていません。毎日同じ人数が勤務しているという証拠がないためです。それぞれの規模を、そのまま並べています。
APPROX. 1,603 DAYS TO BUILD. 2 DAYS+ CONFIRMED USE. AND EVERY DAY IN BETWEEN, SOMEONE KEEPS IT READY.
作るのに、約1,603日。
使ったことが確認できるのは、2日以上。
その間も、誰かが使える状態を保っている。
「何日使えば、この船に見合う?」
答えはここには書きません。
約1,603日かけて作った。何日使えば「十分」なのかは、こちらでは決めません。
所有者は違う。
ヨットはもっと違う。
比べているのは船です。誰が一番すごいか、誰が一番金持ちかの順位付けではありません。数値の出典は各列の下に示しています。
所有者を消しても、商品はまだ面白い?
Yusaku Maezawa 前澤友作
NAUSICAÄ
- Length
- 114.2 m
- Builder
- Lürssen(ドイツ)
- Type
- モーターヨット(Displacement / Expedition)
- Propulsion
- ディーゼル・エレクトリック5基+全電動アジマスポッド/2MWバッテリー
- Design
- Marc Newson(外装・内装)
- Special features
- 7枚の曲面ガラスによるSkydome(各1,050kg)、Ice Class 1D、12.5m艇用ドライドック、船首ヘリパッド
- Intended use
- 世界一周を含む長期クルージング
Jeff Bezos ジェフ・ベゾス
Koru
- Length
- 125.8 m(船体全長。バウスプリットを含め約127mとも報じられる)
- Builder
- Oceanco(オランダ)
- Type
- セーリングヨット(3,493GT・鋼製船体)
- Propulsion
- 帆+機走
- Design
- 外装・船型 Dykstra Naval Architects/内装 Mlinaric, Henry & Zervudachi
- Special features
- オランダ建造では最大級のセーリングヨット。ゲスト18名に対し乗員40名
- Intended use
- クルージング(2023年引き渡し)
Cristiano Ronaldo クリスティアーノ・ロナウド
Azimut Grande 27 Metri
- Length
- 約27 m
- Builder
- Azimut Yachts(イタリア・ヴィアレッジョ)
- Type
- モーターヨット(セミカスタムのシリーズ艇)
- Propulsion
- 確認中
- Design
- 確認中
- Special features
- 構造の多くを炭素繊維で構成。標準の4キャビンではなく5キャビン仕様を選択したと報じられている
- Intended use
- 確認中(2020年に購入と報道)
ここまで来て、やっと人の話。
モノを先に見た後なら、名前の意味が少し違って見えるはずです。
-
Commission / funding
Yusaku Maezawa
この船を発注し、資金を出し、方向性を決め、完成までのリスクを引き受けた当事者。「他に見たことのないユニークなヨット」「柔らかなフォルム」「世界中の海をどこでも航海できる丈夫な船」という3つの要望が、この船の出発点になっている。
-
Design
Marc Newson
オーストラリア出身のインダストリアルデザイナー。外装から内装、細部の技術的ディテールまでを一貫して担当。公式プロフィールにも本船(6,500 GT, 114.2 m)の総合デザイン担当と明記されている。2021年の140m Solaris に続く2隻目の全体設計。
-
Engineering / construction
Lürssen
ドイツの造船所。船体構造、艤装、システム統合、試運転まで、図面を実際に浮かぶ物体に変換した側。Ice Class 1D の船体補強、Skydome のガラス工程、12.5m艇用ドライドックはいずれも造船所側が成果として挙げている。
-
Glass engineering
Lürssen(ガラス製造元は確認中)
7枚の曲面ガラス(各1,050kg)を、型の上で加熱しガラス自身の重さで曲げる工程で成形。量産前に1:1の実物大プロトタイプで検証したと報じられている。ガラスそのものを製造した企業は特定できていない。
-
Propulsion
確認中
ディーゼル・エレクトリック5基、全電動アジマスポッド、2MWバッテリー。各機器の供給元は公式情報未確認。
-
Classification
Lloyd's Register
船級協会。Ice Class 1D の船体補強やハイブリッド電源を含む仕様が規則に適合していることを、設計・建造・就航後を通して確認し続ける側。
-
Crew
乗員 最大36名(定員)
航海当直、機関の保守、電力・造水・汚水処理、消防・救命、そしてゲスト対応。完成した船を「動き続ける状態」に保っている人たち。専門媒体のデータでは乗員36名・ゲスト18名ですが、36名は「最大36名まで乗せられる」という定員の記述もあり、常時36名が乗り組んでいるかは公式情報未確認です。
発注・資金提供・意思決定・リスク負担・実際の使用は、それ自体がこの船を成立させた寄与です。 このサイトはそれを差し引くためのものではなく、その隣に他の名前を並べるためのものです。
気づいたら造船の話を読んでいる。
ここから先は、好きな人だけ読めばいい場所です。すべて本記事で参照した一次情報・専門媒体です。
- Lürssen 公式 NAUSICAÄ ページ
造船所自身の説明。Skydome、Ice Class 1D、ドライドック、ガラスバンドの記述はここが一次情報。
- Marc Newson Ltd 公式
デザイナー側の記載。Nausicaä(6,500 GT, 114.2 m)の総合デザイン担当と明記。
- 前澤友作 X投稿(2026年5月26日)
完成の報告と命名。オーナー側の一次発信。
- Wallpaper* — Marc Newson and Lürssen's Nausicaä
デザイン誌としての読み。ガラスの寸法・重量・成形方法もここに。
- Boat International — 引き渡し記事
建造スケジュールと機関構成。ヨット専門媒体の標準的な報じ方。
- Baird Maritime — Vessel Review
船として読むならこれ。船級符号・材質・電源構成まで。
出典一覧
- 前澤友作 X投稿「6年の歳月をかけ建造していた全長114.2mのメガヨットが遂に完成し航海に出ました」 X(@yousuck2020) / 2026-05-26 本人による一次発信。
- 前澤友作さん、来春完成『男のロマン』"全部乗せ"の外観ショット公開 中日スポーツ / 2025-08-14 本人のX投稿(2025年8月14日)を引用した記事。投稿本文の直接確認は未了。
- NAUSICAÄ(Lürssen 公式 新造艇ページ) Lürssen 造船所による一次情報。
- Marc Newson(Marc Newson Ltd 公式プロフィール) Marc Newson Ltd 「Nausicaä(6,500 GT, 114.2 m)の総合デザインを担当」と明記。
- Shaped entirely by Marc Newson, Nausicaä is one of the boldest superyachts ever made Wallpaper* 造船所のリリース素材に基づく専門媒体記事。
- 114m Lürssen superyacht Nausicaä delivered Boat International 引き渡し報道。建造スケジュールと機関仕様の出典。
- Nausicaä yacht(Superyacht Directory) Boat International 寸法・トン数・ゲスト/クルー数の出典。
- VESSEL REVIEW | Nausicaa – Durable, versatile 114m yacht for polar and tropical destinations Baird Maritime 船級符号・船体材質・機関構成の出典。
- Lürssen Delivers 114m Custom Superyacht NAUSICAÄ Navis Yachts 造船所リリースに基づく記事。ガラスの熱曲げ工程と実物大試作の記述の出典。
- Lürssen's 114m Nausicaä "has truly broken new ground" Yacht Style Peter Lürssen / Marc Newson のコメントの出典。
- KORU Yacht(Superyacht Directory) Boat International 比較用。全長は船体で125.82m。バウスプリットを含む約127mという数値も広く報じられている。
- È un Azimut Grande 27 Metri lo yacht acquistato da Cristiano Ronaldo Boat Magazine (IT) / 2020-07-30 比較用。艇名・デザイナーは同記事でも特定されていない。
- 前澤氏、超豪華メガヨットについに乗船、愛犬とヘリで着艦!ハワイの海でダイヤモンドヘッド見ながら筋トレ よろず〜ニュース / 2026-08-30 2026年8月26日の本人投稿(X/Instagram)を報じた記事。乗船の確認に使用。
- 全長114m超! もはや“軍艦級”な前澤友作氏の新ヨット、ついに始動 乗りものニュース / 2026-08 本人の「ヨットライフが始まりました」投稿を8月25日として報じた記事。よろず〜ニュースは同内容を8月26日としており、日付の帰属が媒体間で1日ずれている。
- NAUSICAÄ Yacht — 374ft Lurssen 2026(艇データ) YachtBuyer 起工日を2022年3月7日と記載。ただし同ページは進水を2023年3月、引き渡しを2026年3月とも書いており、他の一次・専門媒体と矛盾する。起工日は参考値として扱う。
誤り・不足のご指摘、一次情報URLのご提供を歓迎します。確認でき次第、本文の表記と確度バッジを更新します。